ニック・ホーンビィ / ぼくのプレミア・ライフ

 ぼくのプレミア・ライフ (新潮文庫)
サッカーファンなら誰もが感じる、報われなかった思い(と、ほんのちょっとだけの歓喜)の記録。サッカーにのめり込んでいる人ほど、身につまされる気分になると思う。なにしろ書き出しからしてこんな調子。

その後女の人たちと恋に落ちたのと同じやりかたで、ぼくはフットボールと恋に落ちた。突然、説明もできぬまま、判断力を失った。恋が痛みや混乱をもたらすなんて、考えもしなかった。

これはサッカーとの出会いについての完璧な説明のような気がする。恋がもたらす痛みと混乱。僕も何年、何十年も経ったら、ゴール裏からメインスタンドかなんかに席を移して、こんなことを言うようになるんだろうか。