舞城王太郎 / 山ん中の獅見朋成雄

舞城作品の長編で唯一読んでいなかったこの本、ノベルス化されたのを契機に手に取ってみた。読んでいなかった理由は単純、タイトルが読めなかったから。しかし、手に取ってみると答えはなんと簡単なことか、「シミトモナルオ」。そのまま読めば良かったのか…

"春の雪"と"Be My Last"

宇多田ヒカルの新曲"Be My Last"を聴いた。三島由紀夫の"春の雪"を原作とした映画の主題歌になる、という前知識があって聴いてみたら驚いた。これは原作では触れられなかった綾倉聡子の心境そのものなんじゃないだろうか。当然映画の主題歌となるにあたって…

古川日出男 / LOVE

「愛がサルは考える」 文法上、明らかにおかしな言葉使いだけど、この話を読み解くにあたって、あまりにも示唆的な一言。文脈や、文法や、その他のすべてを差し置いて優先されるラブ。東京は目黒区近辺を舞台に、20人程の登場人物たちの、絡み合ったり、すれ…

鳥飼否宇を読む

普段推理小説というものをほとんど読まないので、たまには何か読んでみようと、友人に薦められるままに鳥飼否宇を読んでみた。「密林」と「非在」。本当は友人に薦められたのは「非在」だったのだけど、間違って「密林」を買って帰ってしまったので、2冊立て…

読書紀行

まとまった読書時間が確保できたので、読んだことがなかった作家のものをいくつか読んでみた。ライトなタッチのものばかりなので、どの本も2時間ばかりで読めるんじゃないだろうか。以下短評。 伊坂幸太郎 / アヒルと鴨のコインロッカー 過去と現在の2つの物…

ジョナサン・サフラン・フォア / エブリシング・イズ・イルミネイテッド

装丁が気になってたまたま手に取った一冊。アメリカの新鋭作家、ジョナサン・サフラン・フォアの処女作。前半部はなかなか話の構造が理解できず戸惑ったけど、後半になるに従ってどんどん引き込まれた。自分の出自を探すアメリカ人と、ガイド兼通訳のウクラ…

古川日出男 / 中国行きのスロウ・ボートRMX

2年ほど前に、「村上春樹の名作を、若手作家がトリビュート」と銘打たれて刊行されたうちの一冊。これまで手に取ってみたこともなく、いったいなんなんだろう?と思っていたのですが、読んでみると、もうこれは立派なリミックス。本の世界でもリミックスって…

舞城王太郎 / ディスコ探偵水曜日(第一部)

「新潮」なんて初めて買いましたよ。で、いいですね、この話。なにがいいって、まずタイトルからしていい。「ディスコ」で、「探偵」だなんて僕の好きなものが二つもいっぺんに!しかも主人公の名前が「ディスコ・ウェンズデイ」だなんて!なんだか僕の敬愛…

後藤勝 / トーキョー ワッショイ!

FC東京の99年から04年の軌跡を辿ったこの本。ようやく読んだ。泣けたよ、当たり前のように。ごく普通のファンの視点から書いてあるので、自分も同じスタンドにいた試合なんかはありありと目の前に浮かんでくる。そして藤山に惚れ直した。あの男、最高だ。

ミシェル・ウエルベック / 闘争領域の拡大

ちょっと気になっていた本ではあったのだけど、altonさんのところで魅力的な箇所が抜粋されていたのでようやく読んでみました。以下雑感。 これは、主体と客体についてのものがたり。主人公は語り手でありながら、常に観察者の立場にてものごとを捉えていく…

ニック・ホーンビィ / ぼくのプレミア・ライフ

サッカーファンなら誰もが感じる、報われなかった思い(と、ほんのちょっとだけの歓喜)の記録。サッカーにのめり込んでいる人ほど、身につまされる気分になると思う。なにしろ書き出しからしてこんな調子。 その後女の人たちと恋に落ちたのと同じやりかたで…

ニック・ホーンビイ / ハイ・フィデリティ

何か昼休みにでも読むような本を買おうと本屋に行ったところ、この本を見つけて、これが原作になっている映画も見ていなかったな、と思い購入。ロクデナシの音楽好きの話だよね、と気軽に読み始めてみたものの、ページを繰るごとに真剣に。だって、なんだか…

野沢尚 / 龍時01-02

16歳の少年が単身スペインへサッカー留学の話。サッカーの話がグラウンドレベルで展開されてるので、自分もフィールドに立っているような気分に。2時間かからないぐらいで読めちゃうし、内容に小難しいことがほとんどないので、良い気分転換でした。続編もあ…

村上春樹 / 海辺のカフカ

文庫が出ていたのを見て、そういえば読んでなかったと気付いて、読んでみました。ハルキお得意の螺旋構造。二つの物語が絡まり合いながら、解けながら下へ下へ。ダウンワード・ザ・スパイラル。なんだか消化不良な印象もあるけど、しばらくしたらその印象も…

舞城王太郎 / 阿修羅ガール

舞城熱いまだ冷めず。着々とバックカタログを読んでますよ。 これはどうしようもない日常と事件とインナートリップが交差する青春冒険譚。彼岸と此岸のものがたり。ラスト3行の記述なんかはものすごくベタなんだけど、それでも息をのむほど。傑作でした。

古川日出男/BODY & SOUL

そういえばだいぶ前に読み終わってた。エッセイのような、なんとも言えない作家の日常を淡々と描いた小説。(精神的な漂流はあるものの、)大きな事件やトラブルとは無縁の話ながら、しっかりと読まされてしまうのは、この人の文章の巧みさによるもののよう…

阿部和重 / アメリカの夜

苦手な阿部和重に再び挑戦。これは今まで読んだものよりもスムーズにいけた。でもやっぱり、内容は気になるのに、文章がどこか引っかかる。

舞城王太郎 / 九十九十九

読めば読むほど混乱する怪作。舞城作品に馴染みがないまま読んだら、きっと何のことやらさっぱりわからなかったと思う。帯に「超絶のメタ探偵・九十九十九の魂の旅」と書いてあることに気付いてから、ようやく話の構造が理解できた。大勢に薦められるもので…

古川日出男 / gift

いつからこの日記は読書の記録用スペースになったのか。そう思いながら今日も読む。しかも現代日本の作家のものばかり。理由は、自分に慣れていない(でも昔のものではない)日本語を知りたいからです。 この本はそれぞれの話が5ページからせいぜい10ペー…

舞城王太郎 / 暗闇の中で子供、世界は密室でできている。

ここ数日は舞城作品ばっかりずっと読んでます。どれも語り口が軽妙で(中で起こる事件は残虐だけど)非常に読みやすい。で、ここまで読んで思ったことなんですけど、もしかしてこの人、村上春樹の正当な後継者になろうとしているんではなかろうか。どこかで…

舞城王太郎 / 熊の場所

読み終わったものは忘れる前にメモ。「恐怖を消し去るには、その源の場所に、すぐに戻らねばならない」という一文が印象的。しっかりした感想は、今舞城作品をまとめて読んでいるところなので、一段落したらまた。

SWITCH

やっと見た。もうね、ホント、一体俺をどうするつもりだ?と言いたい。スラムダンク関連はなんでも泣けて困る。淡々とした日常が一番美しいですよ。あ、ちなみに僕は誰よりもみっともなくてかっこいいミッチーはもちろんですが、へらへらとしながらも恋に溺…

阿部和重 / ニッポニアニッポン

引きこもりが佐渡までトキを殺しにいく話。以前『インディビジュアル・プロジェクション』を読んだ時はわからなかったけど、これを読んで、やっとわかった。僕はこの人の小説が苦手だ。着眼点はどれも興味深いと思うのに、語り口が馴染めない。どうしてだろ…

吉田修一 / パーク・ライフ

30分くらいで読めちゃう、なんてことない小品でした。芥川賞受賞作って読んだことが殆どないと思うので、こんな内容で取れるとはちょっと意外。とは言え、この小説の主人公の人のように、僕も公園でぼけっとしてるのは好きなので、それなりに楽しく読みまし…

古川日出男 / サウンドトラック

id:altonさんも書いてた(id:alton:20041215#p1)けど、こりゃスゴい!今年の正月休みはこれが読めただけでも甲斐がありました。「近未来東京をsurviveする少年/少女たちの21世紀型青春巨編」と帯に書いてあるけど、もうその通り。滅び行く東京を生き残っ…

ジョージ・オーウェル / 動物農場

ロシア革命を農場での動物の蜂起に当てはめた、楽しい風刺本でした。理想を謳っても、個人の欲の前には無力なんてさみしいね。

村上春樹 / アフターダーク

やっと読みました。感想は、肩すかし気味?三人称で視点を移動させていく書き方に慣れていないせいかな?一人称で二人くらいの視点を交差させていった方が良かったような気がする。

最近読んだもの

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)作者: 舞城王太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2001/03/07メディア: 新書購入: 4人 クリック: 44回この商品を含むブログ (220件) を見る"middle of nowhere"から"middle of somewhere"へ。ちょうど友達と、昔に比べて、も…

「ECDIARY」(asin:4902824000)

ラッパーECDの100日間の日記が、レディメイドから出版。買い置きして読んでいなかったのを、ようやく読みました。内容はさすがのECDで、気づいていたけど言葉にできていなかったことを再確認させてくれたり、気づいていなかった物事の新しいアングルを見…

「フューチャー・イズ・ワイルド」(asin:4478860459)

かなりのヒット作らしいので、既読の人も多いかも。ディスカバリーチャンネルの放送をまとめたもののようですが、読んでいて、「ほえー」とか、「うわー」なんて、情けない感嘆の声が漏れっぱなしです。何についての本かというと、「2億年後の地球上では、…