Kaoru Inoue / The Dancer (2005, Seeds and Ground, 試聴)

rum2005-08-03

おそらく誰にでも、その人が制作(あるいは参加)しているのであれば、安心してCDやレコードを買える、というミュージシャンやトラックメイカーが何人かいるでしょう。僕にとって井上薫はそのひとり。代表格と言ってもいいかも。理由は音。うまく言葉にするのが難しいけど、ひとつひとつの音色が気泡のように立ち昇っては消えていく感じとでも言えばいいだろうか。良質のスピーカーで大音量で聴くことと、ヘッドフォンで全ての音の鳴りに耳を傾けることの両方の欲を満たしてくれることも重要。
今作はその井上薫の、本人名義では初となるアルバム。最近のDJワークや既発の12インチから推測できたことではあるけど、"The Dancer"というタイトルが指し示しているように、ダンス・オリエンテッドな作品となった。当然良くないわけがない。派手な展開や万人受けするポップさこそないものの、繰り返し聴いていると、自分が音楽の中に溶けていきそうな気分にすらなってくる。