FC東京 vs 川崎フロンターレ

今年度ホーム最終戦。次に味スタへ来るのは春になる頃か、今年は開幕から一ヶ月だけ首位だったり、降格の恐怖に脅えたりといろいろあったなあ、と感慨にふけりながら試合開始を待つ。そんな心境のときに見せられるものとしては、ある意味で良い試合とも、どうにも趣味の悪い試合とも言えるものだったけど。


先日の新潟戦のときに、東京は引いて守ってカウンター一本槍のチームを苦手としている、と書いたけど、それだけじゃなくてタイトなゾーンプレスで試合の主導権を握ろうとするチームも苦手としていた印象がある。そしてそのゾーンプレス型の代表例が今日対戦する川崎。前回の対戦ではゴールを決められず勝ちきれなかった相手、さらにその前の対戦、プレシーズンマッチでは何もさせてもらえなかった相手。さて今日はどうやってそのプレスを打ち破る様を見せてくれるのかと期待していたら、なんと前半は連敗中を思い起こさせる、ぐずぐずの試合。相手に決定機は与えないものの、こちらにも決定機が来ない。しかも崩されたわけではないのに、ミドルシュートでの失点付き。当然、前半終了時には怒号のようなブーイング。ここ最近調子が良かったので、この感じを忘れていた、と少しだけ嬉しくなる。これで目を覚ましてもらい、後半は鮮烈な試合を見せてくれればいい、とも期待する。


しかし後半、東京が完全に目を覚ますまでは、30分程度の時間と、3人の選手交代が必要だった。調子の上がらない栗澤、梶山をそれぞれ戸田、宮沢に交代し、いくらか攻撃に活気が出てきた頃、決定的だったのは金沢の投入だった。加地が怪我のせいか、アウグストへの対応に苦慮していたせいか、明らかにブレーキになっていたので、前半の途中からこの交代を早めに行わなきゃ、と隣席の友人と話していた、まさにその通りの選手交代(もちろん、ベンチ入りメンバーを構成した時点で折り込み済みの交代ではあるんだろうけど)。ここから東京の攻撃が一気にシフトアップしたような印象を受けた。やはり金沢がボールを持つと、試合がスムーズに展開する。長短のパスで攻撃を彩り、そこからの15分程は、楽しくて仕方なかった。特に同点に追いついた後からの味スタの雰囲気は、昨年6月のホーム名古屋戦を思い出させるものだった。選手のプレイが観客を興奮させ、観客の歓声が選手を奮い立たせる、そんな正のスパイラルを感じた。いつもあの空気のなかで試合を観れれば(選手側はできれば)、なにも言うことがないんだろうけど、なかなかうまくいかないのが難しいところ。来年こそはホームゲームの多くがあの雰囲気に包まれることを願って味スタを後にした。