Joaquin Joe Claussell meets Manuel Gottsching / S.T. (2006, MG.ART, 試聴)

rum2006-05-22

サイケデリアの極地を司るギタリストと、ダンスフロアの司祭たるDJとの巡り逢い。どうやらマニュエル・ゴッチングの音源を、ジョー・クラウゼルが再構成し、新たなフレーズ、楽器を加えることで作成したものらしい。存在は耳にしていたものの、実際にリリースされると感慨もひとしお。もちろん残りの2曲も悪いわけではまったくないが、何よりも2曲目、"Ain't No Time For Tears"が素晴らしすぎる。この曲が素晴らしすぎるせいで何度もリピートを繰り返してしまい、他の曲が充分に聴けない。それはまるで、DJが繰り出す曲達も、音響も、フロアのムードも、何もかも満たされたようなパーティの明け方前、落ち着き始めたフロアを再び沸点に持っていくような、その曲が流れている間はいつまでもその曲が終わって欲しくないと思うような、その夜を決定づけるような、そんな曲。「涙を流している暇なんてない」そう言われてしまったなら、頬を伝うものも振り切って諸手を挙げ、ステップを踏むしかない。この曲に出会えて良かった。