TIMMY REGISFORD "THE SHELTER JAPAN TOUR 2006"

昨日は西麻布のイエローへ。昨年の来日の際は行くことができなかったので、ティミーのDJを聴くのは2年ぶり。ハウスのパーティでは往々にして、朝が来てもパーティは終わらず、音が止まるのが9時や10時になってから、ということがよくある。しかし、ティミーだけは更に別格。プレイの終わりが昼を越えるのが当たり前、長いときには夕方までプレイし続けることもあるらしい。いつも彼のDJを聴くたびに、一度パーティの終わりを見届けてみたい、という思いってはいるものの、どうも体力が持たず、最後まで居座ることができない。昨日はそれを打開するために、明け方近くになってからイエローへ向かってみた。
このティミー・レジスフォードという人のDJはどうにも特殊で、まず、テクニック的には決して巧いとは言えない。強引すぎるミックスをしたり、繋ぎの際にピッチがずれているように感じる瞬間もあったり、アイソレータの使い方も、適当にいじっているだけなんじゃないだろうか、と思うことさえある。それでも結論としては、なんて最高のDJだろう、と思わせられるのだから不思議なもの。それはきっと、繋ぎが多少怪しいことがあったとしても、決して流れを壊すことがないから。本当によくフロアを見ている人だと思う。ティミーのプレイで踊っていると、上げて、保って、落ち着かせて、保って、煽って、焦らして、上げて、上げて、保って、と、一晩の中で一体何度絶頂を迎えさせられるのかと思うほどに快楽の波が襲って来る。DJにとって最も肝心なことはテクニックではなく、フロアのムードを壊さずに流れに乗せてやることだというのを、いつだって充分すぎるほど教えてくれる。そのスタイルを指して、ある人はソウルフルと呼ぶのだろうし、またある人はスピリチュアルと呼ぶのだろうし、僕と友人はありがたいお説教だと呼んで笑う。
そして昨夜(というか今朝)も、既に外は明るくなっているはずの時間帯の地下室で、ティミーはそんなプレイを延々と繰り広げていた。朝8時を廻っても客は減らず、体力が無尽蔵に残っているかのように踊り続ける。それをサポートする名曲達。Joaquin Joe Claussell meets Manuel Gottschingの"Ain't no time for tears"のフロアでの破壊力を思い知らされ、Solu Musicの"Fade"の甘美さに酔いしれ、まさかのR.E.M.の"Losing My Religion"に涙を誘われ、どこまでも踊り続けようと思っていたのに、結局朝9時頃に沈没。今回も最後まで体力は持たなかった。まだ入りが早かったらしい。次はもっと遅く、始発で乗り込むぐらいの構えの方が良いかもしれない。