ワールドカップ日記その9

やはりクォーターファイナルまで辿り着くと、それぞれの試合の緊張感は異常なレベルまで達している。モニターの前で口を半開きにして試合を眺めているだけの僕ですら、その熱量にやられて胃が痛くなりそうなのに、実際のピッチでの選手達の疲労度はいかほどか。こんな気分で試合を眺められる幸福も残り4試合。3位決定戦はどうしても花試合的な印象が強くなってしまうので、実質残り3試合。今大会は家の近所のスポーツバーで観戦することが多いんだけど、今朝方は大会期間中にいつもその店で顔を合わせる人達と、まもなく大会が終わってしまうことへの名残り惜しさを語らいあったりした。あと一週間。


ドイツ vs アルゼンチン
互いが互いの良い部分を発揮させまいとした、壮絶なる潰し合い。アルゼンチンにとっては不運なゲーム。あまりに露骨なホームディシジョンに、4年前の大会のことを思い出させられた。それでも交代策の打ちようによっては、勝ち切れたんじゃないかと思わせるところもまた残念。まだまだ観たいチームだったのにな。PKを止めてもそれが当然のことのように、表情の変わらないレーマンが恐ろしかった。


イタリア vs ウクライナ
3-0というスコアがすべて。ウクライナはよくここまで勝ち上がった。それでも圧倒的な試合巧者の前にはどうにもならなかった。イタリアは1トップのシステムが標準化されてきたようだけど、もうちょっとピッポにチャンスを与えてもらえないかな。あのチームのことなんか何も考えていなさそうな単独プレーが観たい。


イングランド vs ポルトガル
0-0ながら見所は多かった。イングランドの堅牢な守備ブロックと、ポルトガルの個人技をベースとした多彩な攻撃のせめぎ合い。イングランドは今大会中これまでで一番の出来だったものの、ルーニーの退場以降は(クラウチの孤軍奮闘ぶりは賞賛に値するけど)充分な攻めができなかった。そしてこの試合は鬼神のような働きぶりを見せたリカルドがやはり印象深い。4本のPKすべてを読み切るだなんて。イングランド側のシュートを撃ったコースが甘いことを差し置いても、なかなかできることではない。
そういえばこのPK戦を観ていて気付いたけど、蹴る選手の表情で、外すかどうかはだいたい想像がつきますね。表情に迷いがない選手は必ず決める。迷いがある選手は必ず外す。


ブラジル vs フランス
たとえば試合終了後に、「唐突ですがこの試合に勝った方を優勝チームにすることを決めました」と発表があったとしても納得できるほどの好ゲーム。これぞワールドカップ。フランスの組織的なプレスをかいくぐろうとするブラジルだったけど、シュートが枠に飛ばなければどうしようもない。枠に飛んだシュートは1本か2本ぐらいだったような。
このブラジルの敗退で、ベスト4に残ったのはすべてヨーロッパのチームとなってしまった。ヨーロッパで開催される大会ではヨーロッパのチームしか勝ち残れないという伝統はまだ健在のようだ。