ACO / MASK (2006, Kioon, 試聴)

rum2006-04-06

ACOのひさしぶりのアルバム。いつの間にかリリースされていたのを気付いていなかった。
この人に関しては聴き始めたのは砂原良徳がプロデュースした"四月のヒーロー"からなので、すべてを聴いているわけでもない。そこから遡って聴いてもいないし。ただ、そこからの"absolute ego"、"material"、"irony"という3枚のアルバムについてはリリース当時かなり聴き込んだし、いまでも折に触れては聴き返している。特に前作の"irony"については何度聴いたかわからないほど。マトモスなんかに影響を受けたようなエクスペリメンタルなエレクトロニカに、儚く消え入りそうな歌が載ったあのアルバムを聴くたびに、なんだか不安が融解していくような気分になったものだった。(ただのビョークワナビーだという受け止め方も一部であったようだけど、僕はどうしてかビョークの声とメロディを聴くと具合が悪くなってしまうので、比較で語ることができない)
それぐらい前作については気に入っていたので、今作もまた同じような体験をさせてくれることを期待していたものの、聴き始めてみるとどうにも趣きが違う。音作りという観点では近いものがあるけど、1曲目からBPMは早いし、ベースラインはエレクトロそのもの。思索の海を抜けて華やかな場所へ出たような印象を受ける。もちろんそれが悪い出来のはずもない。問題点を挙げるとすれば収録されているのがわずか6曲25分と、すぐに聴き終えてしまう短さぐらいか。もう少し長い時間聴いていたいのに。