Primal Scream / Riot City Blues (2006, Columbia)

rum2006-07-31

Riot City Blues
「ステージでのボビーってどんな感じ?」
「うーん、音楽に溶け入ってるような感じ? 恍惚と言っても相応しくないし、陶酔と言っても違う気がする」
「へえ。だいたいどの曲でもそうなの?」
「"Loaded"のときが特にすごい」
「歌ってないじゃん」
「うん、そうそう。歌ってないのにステージでふらふらしてんの。あとマラカス振ったり」
「それだけ?」
「いや、あの曲ってさ、原曲の"I'm losing more than I'll ever have"の中の、『I don't wanna lose your love』ってコーラスが延々とリフレインされるでしょ。」
「ああ、なんとなくわかった」
「そうそう、どうしようもない状況なんだけど、その状況に感じ入ってるの」


僕はプライマルスクリームが好きすぎて、こんな脳内会話を繰り広げたりしてるわけなんだけど、誰もそう思っていないようで寂しいから僕が言う。このアルバム1曲目の"Country Girl"は"Loaded"の("I'm losing more than I'll ever have"の、でもいいけど)続きだよ!アルバム全体の出来としては、正直なところ、今イチな部分も多い。でも、すべてを投げ出して、どうしようもなくなってる男が、開き直って、「俺の手を取って」だなんて最高じゃないか。


試聴リンク:Juno

J1第15節 : vs セレッソ大阪

なんとか情報を遮断して、4時間遅れのディレイ放送でテレビ観戦。リーグ戦なのに生放送じゃないだなんて!と不服だったけど、よくよく考えてみれば、テレビ局も現在の順位が12位と18位の試合にはそれほどプライオリティを置かないですよね。残念極まりない。
肝心の試合内容は、5点も獲って大喜び、といきたいところだけど、手放しでは喜べない。セレッソの出来があまりに酷すぎて、東京が良かったのかどうだったのかがわかりにくいこと、審判のどうしようもないジャッジに試合を壊され気味だったこと、次戦に累積警告でルーカスと伊野波が出場停止になってしまうことなんかがどうにも引っかかる。ただ、それでも無事に勝ち点3は手元に。内容がたとえ怪しかったとしても、この結果が次に繋がることを期待しよう。今日だけは気分良く寝れそう。以下箇条書きで雑感。

  • ルーカスがゴールを決めて、得点王争いの首位に並んだ。もちろん記念にスクリーンショットや画面メモは欠かさない
  • 逆転ゴールの起点になった、憂太のプレイが素晴らしかった。あの憂太があれだけ身体を張れる選手になったことが感慨深い
  • 逆転ゴールを決めた梶山の技術にまたも驚愕。今日はそれ以外の動きも良かった。アシストもしたし。あの走ってボールを引き出す動きがいつも出来ればいいのに。U-21代表監督が来場してたから張り切ったんだろうか。いつもやってよ。怪我は心配。長引きませんように
  • 今日も茂庭はおかしかった。他のチームのワールドカップ帰りの選手もおかしいと話は聞いている。疲れかな
  • 石川がゴールを決めた後、ルーカスとジャーンに胴上げされているのを見て吹き出す。サッカーでゴールを決めて胴上げって、生まれて初めて見たよ
  • 今野の爆発的な上がりが頼もしい
  • 今日のゴールシーンを振り返ると、「中で溜めてサイドへ展開→折り返しに誰かが合わせる」ばかり。これって去年までの得意パターンなんだけど、ようやく原点に立ち返ることができたと考えていいのかな。
  • 繰り返すけど、今日の審判はどうしようもない

J1第14節 : vs 鹿島アントラーズ

J1再開後初のホームゲームは味スタ、国立が使えなかった関係で、なぜか松本での開催。なるべく東京から近いスタジアムを探した、とのことだけど、東京から200kmも離れててホームゲームだなんて。もう少しなんとかならなかったんだろうか。ただ、そう思ってはいてもスタジアムは良かった。専用だけあってピッチが近く、スタンドのコンパクトさも好印象。あれで屋根があれば言うこと無し。


さて、試合。言いたいことはいくらでもあるんだけど、これがどうにも判断つけがたい。文章にしてもまとまりがなくなりそうなので、主立ったものを箇条書き。

  • 始まって早々負傷退場した規郎が心配。また長引かなきゃいいけど・・・
  • 替わりに左サイドに出た伊野波はまずまずの出来。希望を言えば右サイドでやって欲しい
  • マンマークを軸とした守備が功を奏して、前半はそれほど悪くなかった
  • それなりには攻めることもできていた。こういうプレスの厳しくないチームにはある程度形を作れるんだよな
  • 鹿島側から「やなーぎさーわ」とコールされるたびにブーイングを返す東京側。「鹿島の人はあんなに何度もネタ振りをしてくれて優しいね」といった話をして笑う
  • その柳沢が急に来たボールをクロスバー上方に蹴り上げてしまう。ああいった危ないシーンの後は安堵のため息が漏れることが常なのに、起こったことは拍手喝采。みんな期待してたのか
  • ルーカスのゴールに驚く
  • 1点目の失点シーンではなぜか小笠原がフリーの状態に。あの位置で自由にさせたら、そりゃ決めるよね
  • ハーフタイム。夕焼けが綺麗だった
  • 後半始まってすぐに失点。マンマークからゾーンに切り替えた(ように見えた)ことでディフェンスが混乱した?
  • ルーカスの2点目はゴラッソ。我を忘れて吠えたり、跳ねたり
  • 得点を獲れば動きが良くなり、失点すると動きが悪くなるチーム。相変わらず
  • 石川は大怪我をしたのが嘘のようなスピード。良かった。でもクロスの精度も相変わらず
  • 憂太も良かった。完全な状態まであとちょっとかな。常に1.5〜2列目ぐらいに配置したい
  • 試合中終始茂庭がおかしかった
  • 信男さんもおかしかった。あの交代が効いていればねえ・・・
  • 3失点目、4失点目は思い出したくもない。内容的には全くだったのに、決めるところはしっかりと決めるのが、鹿島の強豪たる所以なんだな。戦い方は嫌いだけど、ああいうところは見習うべきか
  • 終了後の選手挨拶にはまばらな拍手が聞こえるだけで、多くの人は拍手もブーイングもなし。ある意味いちばん厳しい対応
  • ガーロはなんで挨拶に出てきたんだろう?僕の席の周りでは、「最後の挨拶?辞めるの?」と嬉しそうな声
  • 12位に後退。もう少し負けると、下位チームの足音が聞こえ始めますね
  • 次のセレッソ戦、広島戦の2試合が鍵かな

J1第13節 : vs アビスパ福岡

2ヶ月以上の中断を経て、ようやくリーグ戦再開。こんなに中断期間からの再開が楽しみじゃないなんて複雑な気分。漏れ伝わってくる練習試合での苦戦ぶり、釈然としない予想メンバー、後半こそと願いをかけていたササの移籍と、悪いところばかりが印象に残り、正直なところ、不安でどうにかなりそうだった。それでも本番になれば良い試合を見せてくれるかも、と一縷の望みを持ってスポーツバーへ。結果はあの体たらく。不安が的中。まるで成長していないように見えた。監督が変わった福岡が見違えるような戦いぶりだったこととは対称的。この2ヶ月、いったい何をしていたんだろう? 攻撃の形も作れず、昨年までの遺産である守備組織も投げ出し、どこへ向かおうとしているのやら。期待できる材料が欲しい。


ここからは余談。試合終了後、10分もすると、一緒に観ていた人達は誰もサッカーの話をしなくなった。猛烈に意識はしているのに、むりやり振り払うかのように馬鹿話を繰り広げる。そうしているうちに誰かが、「日常が帰って来たねえ」なんて言い出した。そう、ワールドカップに熱を上げているうちに忘れてた。2ヶ月前までもこうだった。良かった試合の後はいつまでも試合の話を続け、どうしようもなかった試合の後には悪い気分を吹き飛ばすためにくだらない話に興じる。こういうことまで含めての観戦生活だったよ。今節はテレビでしか観ていないから、試合後の落差も小さかったけど、じゃあ次節はいつも通りのスケールでこれを味わうために行きますか、松本まで。

ワールドカップ日記その10

遂に終わってしまった。画面に映るサッカーを眺めることばかりに費やした、至福の一ヶ月。もっと体調を崩したりするかと思ったけど、意外と大丈夫なもんだね。ちゃんと観戦したのは64試合中42試合。なんとなくぼんやりと眺めていた試合を入れたらもう少し。これまで観た大会の中ではいちばん観れたかな。せっかくなので個人的な表彰をしよう。ベストゲームはスペインvs フランス、ベストゴールはアルゼンチンvsセルビア・モンテネグロでのカンビアッソ(のゴールに繋がる一連の動き)、ベストチームはコートジボアール、MVPはカンナバーロ、特別表彰はアルゼンチン国旗(のようなもの)を振り回すマラドーナ


イタリア vs ドイツ
攻め手に欠けるイタリアと、攻守に阻まれるドイツ。こんなのどうやっても決着つかねえよ、とPK戦の気分になっていた時間にあんなものを見せられるとは。ピルロのパスからのグロッソのゴールも見事だったけど、なんと言ってもそのあとの駄目押し点が。デルピエーロ!もうキープするだけで良かった時間に攻め切るだけじゃなく、落ち着き払って完璧なコースにボールを蹴り込むだなんて。興奮の余り手に持っていたグラスを投げ飛ばしたくなった。他の選手が並のゴールを決めたんだったらあそこまでは興奮できない。


ポルトガル vs フランス
睡魔に負けて、眺めるようにしか観ていない。どうでもいいようなPKということしか印象に残っていないので、後日見直して追記するつもり。


ドイツ vs ポルトガル
うん、どちらもお疲れ様。よくここまでやって来たよ。酩酊状態でのぼんやり観戦はそんな印象。クリンスマンは今大会の功労者を一人ずつ交代させるだなんて、憎い演出をするもんだ、と思いながら、試合終了と同時に夢の中へ。


イタリア vs フランス
まさか、ねえ。いくらネタ満載だと言っても、ワールドカップの決勝という、世界最大の舞台でまで。魅惑のマテラッツィ・ショー。PKを与え、自らのゴールで取り返し、相手チームの英雄を退場に追い込み、PK戦では当然のように決める、完璧なシナリオ。そこまでされたらもうお手上げ。まいりました。

ワールドカップ日記その9

やはりクォーターファイナルまで辿り着くと、それぞれの試合の緊張感は異常なレベルまで達している。モニターの前で口を半開きにして試合を眺めているだけの僕ですら、その熱量にやられて胃が痛くなりそうなのに、実際のピッチでの選手達の疲労度はいかほどか。こんな気分で試合を眺められる幸福も残り4試合。3位決定戦はどうしても花試合的な印象が強くなってしまうので、実質残り3試合。今大会は家の近所のスポーツバーで観戦することが多いんだけど、今朝方は大会期間中にいつもその店で顔を合わせる人達と、まもなく大会が終わってしまうことへの名残り惜しさを語らいあったりした。あと一週間。


ドイツ vs アルゼンチン
互いが互いの良い部分を発揮させまいとした、壮絶なる潰し合い。アルゼンチンにとっては不運なゲーム。あまりに露骨なホームディシジョンに、4年前の大会のことを思い出させられた。それでも交代策の打ちようによっては、勝ち切れたんじゃないかと思わせるところもまた残念。まだまだ観たいチームだったのにな。PKを止めてもそれが当然のことのように、表情の変わらないレーマンが恐ろしかった。


イタリア vs ウクライナ
3-0というスコアがすべて。ウクライナはよくここまで勝ち上がった。それでも圧倒的な試合巧者の前にはどうにもならなかった。イタリアは1トップのシステムが標準化されてきたようだけど、もうちょっとピッポにチャンスを与えてもらえないかな。あのチームのことなんか何も考えていなさそうな単独プレーが観たい。


イングランド vs ポルトガル
0-0ながら見所は多かった。イングランドの堅牢な守備ブロックと、ポルトガルの個人技をベースとした多彩な攻撃のせめぎ合い。イングランドは今大会中これまでで一番の出来だったものの、ルーニーの退場以降は(クラウチの孤軍奮闘ぶりは賞賛に値するけど)充分な攻めができなかった。そしてこの試合は鬼神のような働きぶりを見せたリカルドがやはり印象深い。4本のPKすべてを読み切るだなんて。イングランド側のシュートを撃ったコースが甘いことを差し置いても、なかなかできることではない。
そういえばこのPK戦を観ていて気付いたけど、蹴る選手の表情で、外すかどうかはだいたい想像がつきますね。表情に迷いがない選手は必ず決める。迷いがある選手は必ず外す。


ブラジル vs フランス
たとえば試合終了後に、「唐突ですがこの試合に勝った方を優勝チームにすることを決めました」と発表があったとしても納得できるほどの好ゲーム。これぞワールドカップ。フランスの組織的なプレスをかいくぐろうとするブラジルだったけど、シュートが枠に飛ばなければどうしようもない。枠に飛んだシュートは1本か2本ぐらいだったような。
このブラジルの敗退で、ベスト4に残ったのはすべてヨーロッパのチームとなってしまった。ヨーロッパで開催される大会ではヨーロッパのチームしか勝ち残れないという伝統はまだ健在のようだ。